三河と尾張、地域別に見る愛知の子どもの特徴

子育て・教育
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愛知県は日本の中部地方に位置し、三河地域と尾張地域という2つの地域があります。
仕事の関係で三河地域・尾張地域の児童や保護者と関わる機会が多くありました。
私自身が見た聞いた実感と地域の特色を交えながら、それぞれの地域の子どもたちの特徴、地域ごとの個性・課題を紹介します。

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三河地域の子どもたち

三河地域は愛知県の東部に位置し、豊田市・刈谷市・豊橋市・岡崎市などが含まれています。
この地域に暮らす子どもたちの特徴は、まずのんびりとした雰囲気です。
いわゆる田舎の子どもです。

市営地下鉄鶴舞線から名鉄豊田線で豊田市方面に向かう途中、地下から地上へと上がった時、名古屋市の都会的な雰囲気から一変します。

田園風景が広がり、のどかな環境が子どもたちの成長に影響を与えています。
子どもたちはゆったりとしたペースで物事に取り組む傾向があり、焦りも少なく比較的マイペースな傾向もあります。

また、三河地域には豊かな自然環境が広がっています。
山や川、森林など自然の恵みに囲まれているため、子どもたちは自然との触れ合いを通じて成長します。
日進市には愛知牧場や豊田市に鞍ケ池公園動物園などアウトドア活動自然体験に親しむ機会が豊富であり、季節ごとの変化や生物を身近に感じることができます。
このような経験を通して、子どもたちの感受性を豊かにし、自然への理解や環境への配慮を促したり、考えたりする機会を得ることができます。
これは自然が多い地域だからこそ得られる経験だと言えます。

また、地域への愛着も三河地域の子どもたちの特徴の一つです。
地元の伝統や文化に興味・関心を持ち、地域の祭りや伝統行事に積極的に参加する姿が見られます。
豊田市の挙母祭りおいでん祭り・刈谷市のわんさか祭り・安城市の七夕祭りなど多くの行事が地域に根付いています。

また、三河地域は世界に誇る大企業のトヨタ自動車を中心に栄えています。
トヨタ系列の社員の子どもも多いため、繋がりも強い印象があります。
社会や地域との繋がりを持ち、地域としての誇りを持っている。そういった子どもが多いように感じます。

ただ、教育の選択肢が少ないのが現状です。
三河地域から名古屋市内の私立中学・高校への進学をする学生は一定数いるものの、やはり地元の公立信仰も根強いです。特に岡崎高校・刈谷高校・豊田西高校などは非常に人気です。
特に大学に関してはその地域から離れる必要があります。

以前、ある保護者に「三河の方で住居を購入するなら、よく考えた方がいいわよ。子どもが小さいときは良いけれど、大きくなると子どもが大変。進学校に通えればいいけれど、そうでなければ高校の選択肢はかなり少ないし。それなりの大学に通わせたいなら、親が早めに動かないと取り残されるわよ。
あと、大学に進学となると、結局名古屋市内の方に通うことになるから、通学時間や通学費用もかさみ負担も大きくなるから、そのあたりも踏まえて考えた方がいいわよ。」

名古屋市の中心部の大学へ進学の場合、通学定期券や場所によっては一人暮らしが必要になります。
小学生まではのびのびと生活ができますが、中高生以降は保護者の教育に対する温度差によって教育格差が如実にでてくるでしょう。
大学進学や子どもの将来の夢の実現に近付けるためにも、子どもはのんびりしていても親はのんびりと構えていてはいけません。

ところで、私が三河地区で働いていたときに驚いたのは体操服で下校したり、そのまま習い事に行く子どもが非常に多いということ。
体操服には校章や自分の名前が書かれている。「個人情報は大丈夫か?」とやや心配になる。

保護者が様々な情報にアンテナを張ることが重要

いくらインターネットで検索すれば、だいたいのことがわかる時代です。
しかし、その情報を自ら調べなければ一切出てこないのです。
保護者の耳に伝わるまでのタイムラグもしくはそもそも情報が伝わらないなんてこともあります。
情報に敏感な人は本当に速いのです。

最近、話題の愛知県の公立中高一貫校問題。わずかしか情報がリリースされていないにも関わらず、すぐに様々な学習塾に電話を掛けたり、来塾したりして情報収集をする保護者もいます。
「対策講座の開設は?」「難度はどの程度になると予想するか?」「私学との違いは?」など質問量が凄まじいと聞く。
そういった方もいれば、一貫校の設置の話は聞いていてもリリースされている情報すら知らない保護者もいます。

情報収集のスピードの差は動き出しにも差が生じます。
特に三河地区はまだまだ公立信仰が根強いです。
何も考えなければ、地元の公立中学に行き、その学校で内申点を争い高校受験をします。
高校受験が当たり前、自分が私立中学受験をしていなければ、当然私立中学の情報に対してアンテナは張りません。大学受験を経験していない親ならば、大学受験がどういうものかがイメージできないから話ができないといったこともあります。

対して、都市部は情報の伝達はとにかく速い。保護者間だけでなく、子ども同士での情報が行き来します。生徒数が多いという点もありますが、やはり教育に関心度の高い保護者が多いためママ同士の情報交換が非常に活発です。
それほど、住む場所によって情報の伝達スピードや量も異なるのです。
情報が入ってこないことによる将来の教育格差が広がるのを防がなければなりません。
そのためにも特に保護者自身が情報に敏感になる必要があります。

尾張地域の子どもたち

尾張地域は愛知県の西部に位置し、名古屋市を含みます。この地域に暮らす子どもたちの特徴は、多様な人々と関わることに慣れており、育ちのよさや沿線上によっては所得の高い層が集まっています。
いわゆる都会の子が多いです。

商業や自動車産業を中心とした産業が盛んな都市部としての賑やかな文化が広がっており、多様な刺激を受ける環境が子どもたちの成長に大きな影響を与えています。

名古屋市は音楽、ファッション、エンターテイメントなど様々な文化が交錯する場所です。
栄・大須を中心に様々なイベントが行われ、新しい情報や流行りものが集中します。

子どもたちはこれらの文化に触れる機会が多く、自己表現の幅が広がります。
創造力を伸ばすための環境が整っており、自分のアイデアや取り組みに積極的に挑戦する姿勢を持つことができるのが特徴です。

言ってしまえば、流行りものに敏感であり、最新の技術にも柔軟に対応できる素養があります。

また、名古屋市は国際的な都市でもあり、外国人との交流の機会が豊富です。
文部科学省「学校基本調査」による令和4年の愛知県の外国人児童生徒数の状況から見ても、名古屋市の外国人児童(小学校)は約2800人、中学校は約1100人と愛知県内の中でも圧倒的に多い。
尾張地域の子どもたちは異文化に触れる機会が多く、国際的な視野を持つことができるでしょう。
異なる文化や言語に対する理解や共生の意識を培い、多様な人々との関わりを楽しむことができます。

ちなみに、体操服で下校する子どもはほとんどいません。
前述のとおり沿線上によっては、所得の高い層が集まる一帯もあります。
子どもたちが身に付けるアイテムがブランド物であったり、保護者の乗る自動車も外車や高級車であったりもします。典型的な名古屋人のブランド好きの側面も見られます。

とはいえ、名古屋人の特徴でだけでなく、転勤族の多い東山線ならではの事情も考えられます。
大企業に勤める高い所得層が集まるため、一般よりも子どもに対するお金へのかけ方は非常に熱心でしょう。

このように多様な人が多く集まることで様々な競争が生まれます。
公立信仰が強い愛知県でも、名古屋市においては中学受験は非常に盛んです。
東海地区では東海中学校や南山中学校女子部を筆頭に、名古屋中学校・南山中学校男子部・金城学院中学校・愛知淑徳中学校などが非常に人気です。

様々な競争でストレスを抱えたり、環境の変化で疲れ不登校がちになるなど都会の子ならではの悩みもあります。

令和4年の名古屋市教育委員会の「不登校未然防止及び不登校児童生徒支援の方策」によれば、平成25から令和2年と比較して、小学生の不登校児童生徒の数は525人から1103人と倍以上増えている。
かつては不登校の原因の多くは“いじめ”であったが、近年の傾向では「無気力・不安」「生活のリズムの乱れ」「親子の関わり方」が上位にきています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きいとされています。
子どもが学校に行きたくないと聞くと、“友人との人間関係”や“いじめ”を想像してしまいますが、現代の子どもたちの不登校の原因は多様化しており一概には言えません。

名古屋市内の児童・保護者と関わっていた時、学校に行きたくない理由は「学校がつまらない」「クラスが変わり新しい環境になじめない」「塾に通い始め、生活リズムが変わりなかなか馴染めない」「環境の変化の疲れにより、身体的に不調」などある種ストレスを抱えた結果不調になるケースを聞きました。

三河地区と比べて多様な選択肢があり、恵まれている環境ではありますが、都市部の子は都市部の子なりに悩みを抱えてるようです。

体験的な学習と生活経験の差

学校や学習塾では教科に関する学習内容は十分に補ってくれるものの、一般常識や教養は教えてくれません。
これは現代の子どもが賢くないとか知識が足りないとかそういった類の話ではないのです。

むしろ現代の子どもの方が様々なことを学んでいますし、タブレットやPCやアプリケーションなどを使いこなすなど対応力も高いです。プログラミングを小さいころから興味を持ち、自分でプログラムを組んでゲームを制作するような児童もいます。

一方で自然体験や生活経験の不足を感じる側面もあります。
例えば、「名古屋市の中心部には川原がないから、川原がどういうものかを知らない。」「白菜がいつ旬の食べ物かわからない。」「メロンって木から生っていないんだ。」「虫が嫌いだから、触れない・知らない・興味がない」のような自然物や季節感に対して弱さを見せる児童を多く見ました。

特に新型コロナウイルス感染症拡大したこの数年間。様々な体験的な学習の機会が奪われてきました。
学校で田植え体験ができなかったために、お金を払って外部の田植え体験に連れて行ったり、地引網体験に行かせたり、野菜の収穫体験に連れて行ったりと様々な体験を子どもと行く家庭も増えました。

お気づきの方もいるかもしれません。自然体験をするためにお金を支払っているのです。

今や体験はお金で買う時代になりつつあるのです。

さらに言ってしまえば、親の所得の差で子どもの経験値の差がつくのです。
経験があるないで差なんてそれほどつくはずがないと考える保護者もいるでしょう。
極端な例になるかもしれませんが、性行為の経験・男女交際の経験の有無で20代以降の人生に違いが生じます。結婚・子育てといった人生イベントです。経験ありきのイベントです。
結婚の自由や個人の生き方に自由があることも十分承知しています。結婚がすべてではありません。
しかし、結婚・子育てをしたくてもできない、男女交際をしたくてもできないと思う人たちも存在するのです。

少し話はそれましたが、恋愛は個人の問題かもしれませんが、子どもたちが幼少期に様々な経験を得られるか得られないかは保護者の問題です。

可能な限り、保護者は子どもにどういった経験が不足しているかを見極め、豊かな経験を与えるためにが動く必要があります。

まとめ

愛知県の子どもたちの特徴を地域別に見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
三河地域と尾張地域、それぞれが持つ個性や特徴は子どもたちの成長に大いに影響を与えています。
地域の特色を活かしながら、子どもたちが健やかに成長する環境を保護者が準備していくことが重要です。