あのとき、まだ白かった。

婚活体験談

とうとう、親不知を抜くことにした。
親不知の虫歯がひどくなったのもそうだが、治療してもブラシがなかなか届かず、虫歯の再発を繰り返すということで抜いてしまおうという決断に至った。

親不知…歯といえば….。

7年前。2012年2月某日。
「一人暮らしになって、仕事で忙しく歯医者さんに行くことはないでしょ?親知らず抜いてもらったら?」

と母から言われた。
京都を離れる二ヶ月前であった。
最初は流していたが、母があまりにしつこくいうので、渋々歯科院に行くことになった。


そもそも病院に行くことが嫌いだったので、できるだけ病気をしないように生きていた。
その中でも歯科院に行くことは嫌だった。
ドリルのようなものに、口の中をいじられたり、綿を詰められるあの気持ち悪い感覚。
恥ずかしい話だが、苦手だった。

昔は母親に連れられていったが、さすがにもうそんなことはない。原付で花園中学を越え、京都学園高等学校近くの歯科院へ。
小学生の頃からずっと通っていた歯科院。
虫歯になることがずっとなかったので、数年ぶり。

「まっすぐ親不知がはえてるので、抜かなくてもいいですよ。歯石とりしましょうか。」

ちょっと拍子抜け。
親知らずは抜くものだと思っていたので、抜かないパターンもあることにも驚き。

そして、先生と少しばかり雑談。
春から京都を離れて岡山に行く話をした。
すると、歯医者さんが席を外して、持ってきたのが二枚のレントゲン写真だった。

その日撮った歯のレントゲン写真と、小学三年生の時の歯のレントゲン写真だった。

「カルテに残ってたから持ってきましたけど、何か感慨深いですね。」

小さい口。でも歯並びはきれいでとても健康的。
まだ永久歯にもなってない幼い歯。
そして、随分成長した大きな口をした大人の歯がそこにあった。
タイムスリップしたような感覚と、10年以上前に撮ったレントゲン写真を未だに保管していた歯医者さんに驚いた。

その歯医者さんの名前は覚えていない。
中年くらいの男性だったから、小学生の頃から診てもらっていた人かどうかは微妙なところでわからない。もしかするとその方のお父さんが当時診ていた人かもしれない。

でも、幼い頃の自分の歯のレントゲン写真をずっと残してくれていた小さな歯科院のことは多分忘れない。
まだ私は診察券をずっと持っている。
もしかするとまた、20年前の自分に出会えるかもしれない。そんな気がするからだ。

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